不動産の相続登記を放置するとどうなるか
1 相続登記を放置すると法的に罰が科される可能性がある 2 不動産の相続登記について 3 不動産の相続登記を放置した場合に生じる問題について 4 相続登記の方法 5 不動産の相続登記を放置しないためのポイント
1 相続登記を放置すると法的に罰が科される可能性がある
相続が発生した際に注意するべきことのひとつは、不動産の相続手続きです。
被相続人(亡くなった方)が建物や土地を所有していた場合、その名義を相続人へ変更する相続登記を行うことが、法律で義務付けられています。
ところが、相続人がお仕事などで多忙であることや、遺産分割協議が進まないことが理由で、不動産の相続登記を長期間放置してしまうことも考えられます。
たとえそのような事情があったとしても、正当な理由なく不動産の相続手続きをしないままでいると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
2 不動産の相続登記について
不動産の相続登記とは、亡くなった方の名義となっている不動産を、相続人の名義に変更する手続きのことです。
法務局に対して相続登記申請を行うことで、相続登記をすることができます。
相続登記をしないでいると、登記簿上は依然として被相続人名義のままとなり、通常は不動産を売却したり担保権を設定したりすることができません。
相続人が不動産を活用するためには、相続登記は欠かせない手続きなのです。
3 不動産の相続登記を放置した場合に生じる問題について
⑴ 過料が科される可能性がある
令和6年4月から、不動産の相続登記が義務化されました。
基本的には、相続が発生したこと、および被相続人の不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならないとされています。
これに違反すると、正当な理由がない限り10万円以下の過料を科される可能性があります。
したがって、現在では長期間相続登記をしないままにしておくということはできないといえます。
⑵ 相続人が増えて手続きが複雑化する
不動産を取得する相続人を決めず、相続登記をしないまま長期間が経過すると、いずれ次の相続が発生してしまい、権利関係が複雑になっていきます。
例えば、相続人のひとりが亡くなると、その方の相続人に不動産の所有権が相続されます。
仮に亡くなった相続人が不動産の3分の1の共有持分を持っており、その方の子が3人いたとすると、不動産の共有持分は9分の1ずつに分散してしまいます。
このようなことが繰り返されると、数十人単位の相続人が存在する状態になってしまうこともあり、遺産分割協議を行うことが極めて困難になるという事態に発展します。
⑶ 不動産の処分ができない
被相続人の不動産を売却したり、担保権を設定して融資を受けたりするためには、登記名義をして相続人が所有者であることを客観的に示せるようにしておく必要があります。
相続登記をしていない状態では、登記簿上は誰が所有者であるかが分からないため、不動産を処分することはできません。
売却して現金を得ようと思ったときに、相続登記をしていないままであることに気づき相続登記を進めようとしても、手続きが完了するまでには一定の時間がかかります。
相続税の納税資金など、早急に金銭が必要である場合には、できるだけ早く相続登記を済ませておくことが大切です。
⑷ 相続登記をしなくても固定資産税の納付や管理責任は生じる
不動産の名義が被相続人のままであっても、相続人による固定資産税の納付義務や不動産の管理責任は存在します。
固定資産税の納付書は、代表相続人とされた人に送付されることが多く、誰がどのようにして支払うかについて揉めてしまう可能性もあります。
また、空き家や空き地を放置していると、草木や建物の損壊などによって近隣に迷惑をかける可能性がありますので、誰かが管理をし続けなければなりません。
4 相続登記の方法
もし相続登記をしていないようでしたら、できるだけ早く相続登記をするべきであるといえます。
相続登記は、一般的には次の流れで行います。
まず、相続人の調査、確定をします。
基本的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の戸籍を取得します。
数次相続が生じている場合は、それぞれの相続人も調査する必要があります。
次に、遺産分割協議を行います。
相続人全員で、誰が不動産を取得するかについて話し合います。
話し合いの結果は、遺産分割協議書に記し、相続人全員が署名と押印をします。
相続人調査と、遺産分割協議書の作成が終わったら、管轄の法務局に対して相続登記申請書と、戸籍謄本類、遺産分割協議書、登録免許税等を提出し相続登記の手続きをします。
5 不動産の相続登記を放置しないためのポイント
前提として、相続登記は法律で義務化されているということと、相続登記をしないと事実上も様々な弊害が生じるということを認識するのが大切です。
そして、相続開始後はできるだけ早めに戸籍を集めて相続人を確定するとともに、相続人同士で円滑に話し合えるうちに遺産分割協議を行いましょう。
不動産の利用や売却の予定がなくても、相続登記をしておくことが大切です。
相続登記について不安やお悩みがある場合は、早めに専門家に相談しましょう。



























